子どもの甘えどこまで許す?「甘えさせる」と「甘やかす」の境界線

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パパ
パパ

抱っこばかり要求してきて…
甘やかしすぎかな。

ママ
ママ

甘やかしすぎると
わがままな子になっちゃうかしら

子育て中の親御さんなら、誰もが一度は悩む「甘え」と「甘やかし」の違い。

親として子どもを大切にしたい気持ちと、しっかり自立もしてほしいという気持ち。

その狭間で悩んでしまいますよね。

私も保育士になりたての頃は、「本当は自分でできるのだから、甘えを受け入れすぎちゃうとやらなくなっちゃうかな…」と迷うことが多々ありました。

でも、幼児期の子どもの甘えの重要さを感じていくうちに、「甘え」と「甘やかす」が大きく違うことに気が付きました。

今日は、そんな私が感じた「甘え」と「甘やかし」の違いや、親としてどんな関わり方が大切なのかをまとめました。

「甘え」と「甘やかし」とは?

「甘え」とは?  「子どもの心の栄養」

子どもにとって「甘え」は、心の安心や信頼関係を育む大切な行動です。

親に抱っこを求めたり、そばにいてほしいと感じたりするのは、子どもが「自分は愛されている」と実感するための自然な欲求なのです

信頼できる人に受け入れてもらい心が満たされる経験は、子どもの成長にとても大切なことです。

十分に甘えることで、子どもは自立への一歩を踏み出すエネルギーを蓄えることができます。

「甘え」の行動例
  • 不安な時、悲しい時に抱っこを求める。
  • 「見ててね!」と自分の行動に注目してほしい。
  • 疲れた時に「抱っこして」と言う。
  • 自分で挑戦する前に「手伝って」と助けを求める(安心感を得たい)。

「甘え」は決して悪いことではありません。

子どもは十分に甘えることで安心し、心が安定して次に一歩踏み出す力をもらいます。

むしろ、十分に甘える経験が少ないと、自信を持てなかったり、不安を感じやすい子になってしまうことも。

幼児期に信頼する大人に甘え、それをしっかりと受け止めてもらうことで、自己肯定感人への信頼感挑戦する意欲の土台が育まれていくのです。

保育士リリー
保育士リリー

子どもの甘えは、安全と安心を感じている証拠なんです。

「甘やかし」とは? 「過剰なサービス」

甘やかしは子どもの要求に過剰に応えることを指します。

これは、子どもが自立するために必要な経験を奪い、将来的に社会性や自立心の欠如を招く可能性があります。

甘やかしは、短期的には子どもを喜ばせるかもしれませんが、長期的には問題を引き起こすことがあるのです。

「甘やかし」の行動例
  • 子どもが自分でできることまで親が先回りしてやってしまう。
  • ルールや我慢が必要な場面でも、子どもが嫌がるからとすぐに要求を飲んでしまう。
  • 物やお菓子などを、欲しがるままに際限なく与えてしまう。
  • 公共の場で騒いでも、注意せずに放置してしまう。

子どもの要求を無条件に受け入れることで、子どもが自己中心的な行動を繰り返すようになります。

社会にはルールがあり、時には子どもの気分やワガママを止めなくてはならない場面もありますよね。

甘やかしが続いてしまうと、自立心我慢する力問題解決能力が育まれなくなってしまうことがあります。

受け入れる場合にも、ルールや約束事を決めるといいですね。

年齢別の甘えへの対応ポイント

0〜1歳 (絶対的な信頼感を育む時期)

乳児期は心身ともに「愛着(安心の土台」をつくる大切な時期です。

お腹が空いた、眠い、おむつが気持ち悪い、不安など、泣くことで不快や要求を知らせます。

その要求に温かい愛情をもって応えてもらうことで、「自分は愛されている」「世界は安全」と感じ、愛着関係が形成されていきます。

また情緒が安定し、自己肯定感の基盤が作られていきます。

対応のポイント
  • 泣いたらすぐに抱っこする、話しかける、スキンシップをたくさん取る。
  • 甘えを「わがまま」と考えず、できる限り応えてあげることが大切。

1〜3歳(自我が芽生え、世界を広げる時期)

自己主張が強くなり、「ママじゃないとイヤ!」が増えてきます。

一方で不安や怖さもあり、急に抱っこを求めることも。

自分でやりたい気持ちと、まだうまくできない現実との間で葛藤し、癇癪(かんしゃく)を起こす姿がみられてきます(いわゆるイヤイヤ期)。

信頼関係のある大人に甘え、見守られることで、そこが安全基地となり「甘える→安心→自立」のサイクルの中で子どもは積極的に挑戦することができたり、初めての場所でも探索活動に没頭することができます。

そうして好奇心自立心が育っていくのです。

また自分の気持ちを分かってもらえる経験共感が、感情コントロールの基礎を作っていきます。

対応のポイント
  • 「ママがいい!」などの要求を、できる範囲で受けとめてあげる。
  • ダメなことは「◯◯はできないけれど、抱っこはいいよ」など、できることで受け止める。
  • 共感の言葉がけ(「怖かったね」「寂しかったね」)を多くする。

3〜6歳(社会性が育ち、自立へ向かう時期)

自分の思いを言葉で伝えられるようになりますが、まだうまく伝えられなことも多いです。

そのため友達との関わりの中で傷ついたりうまくいかなかったりすることもあり、親に慰めや共感を求めることもあります。

また他者と比較するようにもなるのもこの時期です。

勝負に負けたくないという気持ちがみられ始めるようにもなるのもそのためです。

新しいこと(逆上がり、自転車など)に挑戦する前に、不安から「一緒にやって」「手伝って」と求めたり、新しい環境(園生活、友だち)でがんばった反動から、家で甘えることが増えたりもします。

就学が近づくにつれ、言葉や態度に甘えを直接出しにくくなりますが、内心ではまだまだ親のサポートを必要としています。

「見守ってほしい」「話を聞いてほしい」「側にいてほしい」などの形で甘えが現れることも。

不安な気持ちを共感してもらったり、甘えをしっかりと受け止めてもらい、見守られていると感じることで、自己肯定感が高まっていき、失敗をしても再び立ち向かい挑戦する力が育っていきます。

対応ポイント
  • 家ではしっかり甘えさせて、「がんばってきたね」と認める言葉をかける。
  • 一緒に遊ぶ、くっつくなどのスキンシップも〇。
  • 「お兄さん(お姉さん)でしょ」と無理に期待し過ぎない。

境界線はここ!見極めのポイント

ポイント1:子どもの「心の声」に耳を傾ける

迷った時には子どもがどうして甘えているのか、その言葉の裏にある「本当の気持ち」を探ってみましょう。

例えば、「抱っこして!」という言葉。
転んですりむいて、不安な気持ちで「抱っこ!」と言っているなら、それは安心感を求める「甘え」のサイン。
ぎゅっと抱きしめて、「痛かったね、怖かったね」と気持ちを受け止めてあげることが大切です。

でも、おもちゃ売り場で、新しいおもちゃが欲しいのに買ってもらえず、かんしゃくを起こして「抱っこじゃなきゃヤダ!」と言っている場合はどうでしょう?

もしかしたら、自分の思い通りにならないことへの不満や、親を試している気持ちの表れかもしれません。

この場合は、抱っこでごまかすのではなく、「おもちゃが欲しかったんだね」と気持ちに寄り添いつつも、ルールを伝える場面かもしれませんね。

子どもの年齢や状況によって違いますが、その時の感情を理解し共感を示すことで、対応のヒントがみえてくるかもしれません。

ポイント2:子どもの「成長」を信じて見守る

「甘やかしすぎているかも」と感じたら、一度自分の行動を振り返ってみてください。

「子ども自身でできること」を奪っていないか?
少し難しいことに挑戦する機会を与えているか?

手を出しすぎているようだったら、グッとこらえて見守ることも大切です。

時間に余裕がなくて、全てやってしまうこともありますよね。

人によって理想の子育てはそれぞれあるかと思います。

家の中を綺麗にしておきたい。

毎日しっかり栄養のあるものを食べさせたい

夜は必ず同じ時間に寝かせたい

子育ての中で全てを完璧に行うのは到底難しいことです。

今自分の子には何一番大切にした方がいいか優先順位をつけ、できないことは少し力をぬいてしまってもいいのではないでしょうか。

ポイント3:一貫性のある「ルール」を示す

子どもの甘えに対しては、温かい対応を示しつつも、適切な境界線を設けることが大切です。

例えば、子どもが何かを要求したとき、ルールや約束事を決めてからその要求に応えることで、受け入れてもらった満足感を得つつも、自制心も育むことができます。

無条件で受け入れてばかりいてしまうと、自分の行動や感情を制御できなくなってしまいます。

また親がその場の感情で対応を変えてしまうと、子どもは混乱してしまいます。

例えば「寝る前のお菓子はダメ」と決めたら例外を作らない方がいいでしょう。

ワガママや社会的ルールを守る必要があるときは、きっぱりと伝える勇気も大切です。

人を傷つけることや迷惑になることなどは、毅然とした態度で伝える必要があるでしょう。

おわりに

「甘え」と「甘やかし」の境界線は常に明確なものではなく、試行錯誤の連続です。

一番大切なのは、子どもへの愛情と、子どもの成長を信じる気持ち。

迷った時にはぜひまたこの記事を読み返してみてください。

子どもの「甘え」は心の栄養。

甘えることができるからこそ、自分でがんばる力も育っていきます。

「甘やかし」との違いを意識しながら、親子で安心して過ごせる時間を大切にしてくださいね。

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